【製造業向け業務システム用語が分かるシリーズ】 販売管理Ⅰ
シーシーネットワークグループの梅川です。
私は、新卒(約40年前ですが)でSIベンダーに入社し、中堅製造業のお客様に対して、業務システムを構築したり、業務パッケージを導入したりする仕事を行ってきました。
その経験を踏まえて、製造業向けの業務システム構築に必要な各種の用語を紹介したいと思い、このブログの場を借りて記載します。
粗々の内容ですが、読者のお役に立てれば幸いです。
宜しく、お願いします
販売管理編 1.基準情報管理
販売管理とは、企業活動における「お金」と「モノ」の流れを管理することです。具体的には、「何を・誰に・いつ・どこで・いくつ・いくらで」販売したのか、また請求や代金の回収は済んでいるのかなどを管理します。
商品を製造するために必要な「仕入」や、製造した商品の「在庫」を管理することは、購買管理や在庫管理と呼ばれます。こちらも広義的にとらえると販売管理の対象です。
しかし、製造業の場合、在庫管理や購買管理は、工場の生産管理部門で行っていることが多く、生産管理の機能として位置づけられることが多いです。
今回のテーマである基準情報管理(所謂、マスタ管理)は、受注管理、出荷管理、売上管理の業務プロセスを円滑に進行させるための基準情報項目を管理するものです。
以降に、その業務システムの主要な用語例を紹介します。
1.1.基準情報管理の主要な用語
(1) 販売組織関連
販売組織:商品やサービスを販売するために必要な組織です。
営業活動を主体的に執り行う組織単位ごとに定義します。
販売組織マスタ:ERPパッケージのSAPは、販売組織マスタを設定します。
一方で、多くの国内のパッケージは、部門マスタで組織情報を実装しています。
部門マスタ:
部門コードをキーチスルマスタです。部門名称、住所、親部門コード等を管理しています。
下記は、SAPの販売組織の構成要素です。
流通チャネル:商品やサービスを得意先に販売する際のチャネルを表します。
卸売業者への販売、小売販売、直販、ネット販売などが挙げられます。
販売組織に割り当てられ、作成されます。
製品部門:販売している製品、商品、サービスを特性ごとにグルーピングしたものです。
販売組織に割り当てられ、作成されます。
営業所:実際の会社の営業所のことです。
販売エリア:それぞれ定義した販売組織、流通チャネル、製品部門を組み合わせたものを販売エリアと呼びます。
(2) 得意先関連
得意先:債権の計上先あるいは販売活動の登場人物のことです。
得意先マスタ:日本では、掛け取引という信用取引が一般的です。1か月に1回などまとめて請求し、それに対して支払いを行います。新規取引先との取引開始に当たっては、信用調査を実施します。信用調査の結果を考慮して、取引条件や与信限度額を設定し、各種契約条件とともに得意先マスタの設定します。
得意先マスタは、得意先コードをキーとしています。設定する内容は、名称や住所等の情報、消費財、銀行情報、販売組織情報、受注先/出荷先/請求先/支払人の情報等があります。
納品場所:製品を納入する場所のことです。モノで納品が発生する場合には納品場所を必ず記載します。
(3) 価格関連
販売品目単価マスタ:
特意先・販売組織・流通チャネル・品目や金額・数量等の様々な価格決定要素及び価格決定ルールから販売品目単価を算出します。
価格決定要素及び価格決定ルールマスタ:
販売品目単価を算出するために、価格決定要素別に価格ルールを算出するための料率等の情報を管理します。
(4) 品目関連
販売品目マスタ:
品目コードをキーとしたマスタです。
販売管理で扱う品目は、製品、商品だけでなく、アフター部品や梱包材も含んでいます。
品目とその属性や性質をシステムに表現し管理することができるようにしたものです。
各サブシステムで管理している数量・金額・時間等の情報を算出するための基になる情報を管理しています。
アフター部品代替品マスタ:アフターパーツの代替となる品目との紐づけ( 品目番号、 代替品 品目番号)を管理します。
組マスタ:組製品品目番号をキーとしたマスタです。
セット品の親子関係(組製品 品目番号、単品品目番号)を管理するためのものです。
群マスタ:販売品目を分類するためにのマスタです。大分類、中分類、小分類がら構成されます。
生産管理の分類と体系が異なるため、群という表現で区別しています。
(5) 保管区関連
保管区マスタ:保管区コードをキーとしてマスタです。
マスタの内容は、住所等の場所の情報、マイナスを許可するか等の属性情報、棚卸関連情報、担当者等の情報等があります。
本社・工場の製品出荷保管区(受注引当前・引当後):工場で管理する製品の出荷用保管区です。
出荷業務を実際に行うための場所や作業単位を管理します。受注引当前後を区別します。
本社・工場のアフター出荷保管区(受注引当前・引当後):工場で管理するアフターの出荷用保管区です。
出荷業務を実際に行うための場所や作業単位を管理します。受注引当前後を区別します。
支店・デポの製品とアフターの出荷保管区(受注引当前・引当後):支店・デポで管理する製品の出荷用保管区です。
出荷業務を実際に行うための場所や作業単位を管理します。受注引当前後を区別します。
支店・デポの製品とアフターの出荷保管区(受注引当前・引当後):支店・デポで管理するアフターの出荷用保管区です。
出荷業務を実際に行うための場所や作業単位を管理します。受注引当前後を区別します。
出荷積送中保管区:本社・工場、支店、デポから出荷し、納入先へ納入するまでを識別するための保管区です。
倉庫構成:保管区は、倉庫・保管区画・棚番・保管ロットというふうに階層構造で表せられます。その構成を倉庫構成と言います。
アフター部品発注点管理マスタ:
倉庫コード別品目コード別にアフター部品の発注点を管理するマスタです。
アフター部品が、発注点割れを起こした場合に自動的に発注データを作成するために設定すします、」
(6) 運送店関連
運送業者:製品やアフター部品を配送する運送業者のことです。
配送区分:配送種別を区別する区分です。大型・小型、宅配品・冷凍品 配送先県名などがあります。
運賃単価:運送業者、配送区分・有効期間ごとに運賃単価を管理するものです。
運賃マスタ:運賃を計算するための基になる情報です。基本運賃・距離割増などに対して、どのような運賃や単価を引き当て、どういう単価計算を行うのかを定義します。
(7) その他
郵便番号:郵便番号は、恒に最新化する必要があります。また、データ作成のタイミングで古い郵便番号のデータが作成されている場合もあります。意外と嵩張る機能です。
1.2.基準情報管理のシステムでの話題
(1) AI審査
個人や企業の信用力を調査する際に、AIを用いる審査が増えています。以前からクレジットカード会社等での統計的スコアリングがありましたが、これは、過去の実績情報によるものでした。AI審査でも、同じようにスコアを算出しますが、仕事の内容や、住居の状況、趣味、考え方等も含めて、信用力を予測する点が異なります。
今回はここまでです。次回もよろしくお願いします。