【製造業向け業務システム用語が分かるシリーズ】 販売管理Ⅳ
シーシーネットワークグループの梅川です。
私は、新卒(約40年前ですが)でSIベンダーに入社し、中堅製造業のお客様に対して、業務システムを構築したり、業務パッケージを導入したりする仕事を行ってきました。
その経験を踏まえて、製造業向けの業務システム構築に必要な各種の用語を紹介したいと思い、このブログの場を借りて記載します。
粗々の内容ですが、読者のお役に立てれば幸いです。
宜しく、お願いします
販売管理編 4.出荷管理
販売管理とは、企業活動における「お金」と「モノ」の流れを管理することです。具体的には、「何を・誰に・いつ・どこで・いくつ・いくらで」販売したのか、また請求や代金の回収は済んでいるのかなどを管理します。
商品を製造するために必要な「仕入」や、製造した商品の「在庫」を管理することは、購買管理や在庫管理と呼ばれます。こちらも広義的にとらえると販売管理の対象です。
しかし、製造業の場合、在庫管理や購買管理は、工場の生産管理部門で行っていることが多く、生産管理の機能として位置づけられることが多いです。
今回のテーマである出荷管理は、本来は、物流在庫管理の機能として位置づけられますが、販売管理の機能として実装されている場合も多いので、ここに記載します。
受注した製品やアフター部品等、在庫管理の対象となっている品目を、顧客から指示された納品場所に届けるために、保管している倉庫から出してきて、トラックに積載したり、運送業者へ配送を依頼したりするプロセスから構成されます。在庫管理対象外の品目も出荷管理の対象ですが、ここでは省略します。
以降に、その業務システムの主要な用語例を紹介します。
4.1.出荷管理の主要な用語
(1) 出荷指示管理関連
出荷指示情報更新:
受注情報(注文情報)を確定した時点で、出荷指示情報を自動的に作成する場合や、人手により出荷指示情報を登録する場合があります。
出荷指示情報更新は、出荷指示情報を管理するデータベースの登録/更新/削除を行います。
運送店を変更する場合、運送店を変更する機能と引当済み保管区の解除を行います。
出荷予定一覧:
本日出荷予定の一覧表を出力します。夜間中にバッチ処理で出荷予定情報を作成し、朝一番で出力します。
出荷指示リスト:
倉庫内の保管場所(出荷場所の保管区)に出荷指示情報(ピッキングリスト)を出力します。
この指示情報は、例えば、1日3回、10時、13時、16時に出荷指示を行うなどのルールを決めて出力します。
複数の配送先に対して同一の品目が多い場合は、製品別ピッキング指示が有効です。
複数の配送先に対して異なる品目が多い場合は、配送先別ピッキング指示が有効です。
支店/デポからの出荷の場合は、出荷依頼メールを作成し自動的に連携して送信します。
配送依頼情報:
運送店に対する配送依頼情報は、メールやFAXと自動的に連携して送信します。
直送品の出荷依頼情報:
直送品を扱う仕入先に対して出荷依頼情報は、出荷依頼メールを自動的に連携して送信します。
出荷指示における配送パターン:
・ 工場から得意先への出荷や配送 ・支店/デポから得意先への出荷や配送
・ 工場から支店/デポへの保管区移動 ・外注から支店/デポへの保管区移動 ・ 外注から得意先への直送
その他出荷関連帳票:
送り状データ、荷札、宛名ラベル、出荷指示書(自社フォーム) 出荷指示書(客先指定フォーム)
などがあります。
(2) 出荷実績管理関連
出荷実績更新:
出荷指示に対する実績を登録します。出荷実績更新で出荷実績データベース(登録・取消)を行います。
出荷に対する返品機能も行います。
検収基準が出荷基準の場合は、出荷実績を登録と同時に売上実績も登録します。
出荷伝票:
出荷単位に発行する伝票(保存用)です。
出荷明細一覧、出荷実績問合せ、出荷チェックリスト:
出荷した品目の出荷内容を一覧表で確認したり、画面で照会したりする機能です。
納品書、受領書:
納品時、顧客へ渡す納品伝票、受領書等と複写式で作成することもあります。
自社フォームで作成する場合と、客先指定のフォームで作成する場合があります。
主な管理項目:
<出荷計画>
〇出荷を識別する項目:
受注NO、明細番号、明細番号枝、番前回納期回答日、最新納期回答日、出荷指定日、出荷指定数量、出荷指示残数量、出荷指示完了フラグ、削除フラグ
〇物流・配送に関する項目:
在庫引当済保管区コード、運送店コード、出荷指定数量、号車、輸送区分
<出荷指示>
〇出荷指示を識別する項目:
出荷納品伝票番号、得意先コード、納品場所コード、出荷倉庫コード、納入予定便番号、運送便コード、出荷予定日時、納入予定日時、出荷指示金額(税込み)
外税対象金額、内税対象金額、非課税対象金額、税抜売上金額、消費税額(外税)、消費税額(内税)、税抜売上金額、出荷指示金額
<出荷指示明細>
〇出荷指示明細を識別する項目:
出荷指示番号、受注番号、分納項番、伝票番号、品目番号、製番、預託倉庫区分、出荷指定日、納品場所コード、納品予定日、出荷指示数量、出荷実績累計数、
返品数量、単位、単価、出荷指示金額、通貨コード
〇得意先に関する項目:
得意先品目番号、得意先注文番号、得意先コード、得意先名略称、
〇物流・配送に関する項目:
ロケーション番号、荷姿単位数、箱数、端数、口数、分納区分、分納回数、運送便コード、輸送形態区分、引当保管区、振替先保管区、削除フラグ、運送店コード、出荷指定数量、号車、輸送区分
〇その他の項目
営業担当者コード、発行担当者コード、各種の伝票や帳票の出力済フラグ
<出荷実績>
〇出荷実績を識別する項目:
出荷実績管理番号、出荷指示番号、伝票番号、受注NO、明細番号、明細番号枝番、検収区分、、売上状態区分、着日、出荷納品伝票番号、出荷納品伝票明細番号、受注伝票番号、受注明細発生連番、
分納項番、伝票区分、品目番号、出荷品目番号、製番、出荷実績日、出荷実績数量、得意先出荷実績数量、単位、単価、得意先出荷単位、出荷実績金額、消費税額、出荷実績金額(税込み)、
外税対象金額、内税対象金額、非課税対象金額、税抜売上金額、消費税額(外税)、消費税額(内税)、税額、税抜売上金額、出荷実績金額、通貨コード、出荷返品理由
〇得意先に関する項目
得意先品目番号、得意先注文番号、得意先コード、得意先名略称
〇配送・物流に関する項目
納品場所コード、預託倉庫区分、引当保管区(出荷倉庫)、払出預託保管区(払出倉庫)、ロケーション番号
〇購入に関する項目
納入番号、納品キー番号、購買担当、検査区分、発注者備考(漢字)、発注者バーコード情報、過少完了フラグ
〇その他の項目
営業担当者コード、発行担当者コード
<出荷実績明細>
〇出荷実績明細を識別する項目
出荷実績管理番号、出荷指示番号、在庫ロット番号、出荷品目番号、保管区コード、受注番号、伝票番号、ロット別出荷実績数量、出荷実績日
4.2.出荷管理のシステムでの話題
(1) 自動倉庫システムと出荷
ラックを機械化したものが自動倉庫システムです。ピッキングのためにクレーンが移動して保管製品を手元まで搬出します。
機械化すたことで、構内の高所の空間を保管に有効活用できます。正確かつ迅速が納品ができるようになります。
また、物流倉庫での人件費抑制にも有効です。
(2)デジタルアソートシステムとデジタルピッキングシステム
種まき型ピッキングは、製品別にピッキングして複数の配送先ごとのカートに分配します。
この作業を機械化したものがデジタルアソートシステムです。
摘み取り型ピッキングは、配送先ごとのカートとともに倉庫内を移動ししながら、棚からカートに製品を取っていきます。
この作業を機械化したものがデジタルピッキングシステムです。
今回はここまでです。次回もよろしくお願いします。