【製造業向け業務システム用語が分かるシリーズ】 販売管理Ⅲ
シーシーネットワークグループの梅川です。
私は、新卒(約40年前ですが)でSIベンダーに入社し、中堅製造業のお客様に対して、業務システムを構築したり、業務パッケージを導入したりする仕事を行ってきました。
その経験を踏まえて、製造業向けの業務システム構築に必要な各種の用語を紹介したいと思い、このブログの場を借りて記載します。
粗々の内容ですが、読者のお役に立てれば幸いです。
宜しく、お願いします
販売管理編 3.受注管理
販売管理とは、企業活動における「お金」と「モノ」の流れを管理することです。具体的には、「何を・誰に・いつ・どこで・いくつ・いくらで」販売したのか、また請求や代金の回収は済んでいるのかなどを管理します。
商品を製造するために必要な「仕入」や、製造した商品の「在庫」を管理することは、購買管理や在庫管理と呼ばれます。こちらも広義的にとらえると販売管理の対象です。
しかし、製造業の場合、在庫管理や購買管理は、工場の生産管理部門で行っていることが多く、生産管理の機能として位置づけられることが多いです。
今回のテーマである受注管理は、販売管理の必須の機能です。日本の場合、受注生産方式を採用している企業が多く、その場合、この機能は、ビジネスプロセスの開始点であるため、不正なデータを入力すると、後続の処理へ反映され、現場の混乱を招きます。
プルーフリストやチェックリストで不正なデータが登録されていないかを確認する必要があります。
また、受注機能の中で、納期回答、在庫引当や運賃計算等の機能や、各種手配に繋がる情報を入力する機能があり、受注確定まで時間を要するので煩雑な業務になりがちです。
以降に、その業務システムの主要な用語例を紹介します。
3.1.受注管理の主要な用語
(1) 受注管理関連
受注情報更新:
受注情報(注文情報)は、受注ヘッダと明細データから構成されます。
受注情報更新は、受注情報を管理するデータベースの登録/更新/削除を行います。
受注情報を確定することで、出荷指示等の各種の手配情報や、出荷実績、売上情報実績の後続のプロセスが可能となります。
商品、製品、部品、原材料、役務、梱包材、案件等に対し受注を行います。
得意先との取引を伴う受注、伴わない受注があります。
受注明細単位に在庫問合せや在庫引当や引当解除機能があります。
引当により良品保管区から引当済保管区に移動します。引当てる保管区を自動的に決定するためのマスタを整備し、自動引当を可能にすることがあります。
運賃、値引、出張費、作業費等の在庫を伴わない項目を登録します。
生産計画情報がある場合、この情報を引き当てます。例として、10個生産する計画情報の内、5個の受注が確定した。
出荷予定日計算、指定納期計算を行います。これも自動計算を可能にするマスタを整備して実現します。
出荷指示、配送指示等の手配情報を受注情報から作成します。
出荷指示や配送指示に関して、下記のようなパターンがあります。
・ 工場から得意先への出荷や配送 ・支店/デポから得意先への出荷や配送
・ 工場から支店/デポへの保管区移動 ・外注から支店/デポへの保管区移動 ・ 外注から得意先への直送
納期回答用のデータを作成します。
リピート受注に対応するため複写機能、受注確定前に保存する機能があります。
直送品を受注した場合、発注情報を同時に作成します。
受注情報一括取込み:
外部システムから連携される受注情報をCSV経由で一括取込を行います。
得意先のEDIシステムから連携する場合などに必要な機能です。
受注明細一覧・受注問合せ・受注残と問合せ:
受注情報(受注ヘッダと受注明細情報)を検索し、一覧表示を行う。
必要に応じて、CSV出力を行うことができます。
受注プルーフリスト・受注チェックリスト:
受注情報(受注ヘッダと受注明細情報)が正しく入力されたかを確認するためのリストです。
受注伝票出力:
必要に応じて、受注伝票を発行する機能です。
主な管理項目:
<受注>
〇受注を識別する項目:
受注NO、案件番号、受注担当者コード、営業担当者コード、得意先注文番号、御注文者、指定納期、指定納期メモ、出荷予定日
受注完了フラグ、受注完了日
〇取引先に関する項目:
得意先コード、得意先名(漢字)、得意先郵便番号、得意先住所、得意先電話番号、納期回答FAX番号、納期回答フラグ
〇納品場所に関する項目:
納品場所コード、納品場所名、納品場所郵便番号、納品場所住所
〇物流・配送に関する項目:
保管区コード、自動引当可能フラグ、自動出荷可能フラグ、検収区分、運送店コード、輸送区分、販売部門コード
(受注明細)
〇受注明細を識別する項目:
受注明細番号、枝番、注文区分、受注管理番号、得意先注文番号、営業担当部門コード、営業担当者コード、発行担当者部門コード、発行担当者コード
〇物流・配送に関する項目:
運送便コード、輸送形態区分納品場所コード、受渡場所コード、納品場所名、、製造場所コード、指定納期
数量・金額に関する項目:
通貨コード、為替種別、受注単価、受注数量、単位、内示残数量、内示残金額、受注金額、受注金額(邦貨)、返品単価、返品数量、返品金額、
消費税適用区分、消費税コード、消費税計算区分、備考
3.2.受注管理のシステムでの話題
(1) さまざまなインターフェース・関連システムと受注
受注は、電話、FAX、ネット、タブレット端末、小型デバイス、スマートスピーカー等の様々なインタフェースから注文情報を取り込みことが求められる機能です。
また、周辺の関連するシステムとして、コンタクトセンター、SFA、EDIなどがあります。
ITエンジニアの提案力が期待される部分でもあります。
今回はここまでです。次回もよろしくお願いします。