論理的思考の要素
■はじめに
現在、イノベーション、DX化等のかなり難しいテーマに取り組んでいかないと生き残れないということで、これらの課題に取り組んでいる企業が多くあると思います。
しかしこれらの課題はそう簡単に答えが出せるモノではありません。
そこで答えを出すための思考要素について今回考えてみたいと思います。
■又吉直樹著の“夜を乗り越える”よりのヒント
又吉直樹著の“夜を乗り越える”を読んでいたら下記のような思考の視点を増やすための大変参考になる部分がありました。
『答えがないことを学べる』 ―(著書よりの引用)
十冊読めば十人分の人生が分かるとは思いません。すべてを自分に採用できるかどうかもわかりません。しかし間違いなく視点は増えます。自分の中に「俺はこう思う」という人間と「それ本当か?」という人間が、せめて2人ぐらいいた方がいいんじゃないかと思います。「絶対そうだよ」と断定するのが口癖の人がいますが、「絶対」という言葉は使い方によっては可能性を狭めてしまうので気をつけた方がいいと思うんです。
「それは本当か?」に対し「いや、本当だ。これこれこうだから本当だ」と思考することによって、「俺はこう思う」の強度がどんどん増していきます。視点が増えれば増えるほど問題も立体的になります。物事の本質に近づくことができます。
(中略)
社会に出たらもう殆ど答えがありません。だから争いがあるのだし、物事は難解なことばかりです。そんな答えがないことにぶつかった時、どうするのか。
生きていくことは面倒くさい、答えがありません。本はそのことを教えてくれます。答えがないことを学ぶことができます。その時の主人公の迷いや葛藤、その末の判断を知ることができます。
(以下略)
彼が書いている通り、答えを出すために多くの本を読み視点を増やすことが大切な要素になると思います。視点が増えれば物事が立体的に捉えられ、見えていなかったところが見えてきて物事の本質に近づける可能性がかなり出てくると思われます。
イノベーションやDX化に直接結びつくものではなく、一見遠回りに見えると思われますが、結果的には近道になるのではないかと考えられます。
■国家の礎たる教育 ―論理的思考&国際社会で豊かな表現する能力の養成
先般、日大教授の先崎彰容氏が新聞に「国家の礎たる教育」という標題で記事を掲載していました。その要旨は下記の通りです。
【背景】
・国際学力調査での日本の実力は、数学、科学はトップクラスであるが、読解力はとても低い順位であった。
・今後読解力を付けるために、国語に注力すべきである。
【文部省の対応状況】
・上記背景に対し文部省は下記の対応を推進することとしている。
- 読解力回復策として国語改革を推進
- 言語活動の充実
〇論理国語の新設
ー多くの情報を正確に纏める能力の養成
〇国語表現の改訂
ー論説文を中心とした読解力の向上
+文章の書き方を教える
*文部省の対応について識者より
「国語から小説などの文学作品に触れる機会が消えてしまう」との批判も出ています。
【先崎教授の提案】
- 提案理由として小手先の国語改革程度では、論理的思考を身につけ、国際社会で豊かな表現する能力は身につかない。
- 抜本的対策として『プレゼンテーション科目の新設』を進め、下記要素の能力を養成すべきではないか。
〇どう自己表現するのか。
〇分かり易い文章を書き、資料をまとめる
⇒総合的プレゼンテーション能力の開発をすべき。
◎『表現総合』として・・・高校教育改革の柱にすべき。
先崎教授の提案は、我々ビジネスマンにかなり当てはまる点が多くあると思います。
イノベーションやDX化を推進するための基礎として論理的思考力は必須であり、また自分のアイディアを相手に理解して貰うためにはプレゼンテーション力が重要な能力であることは言うまでもありません。
我々自身も上記の内容を考慮し『研修ビジネス』を展開していきたいと考えています。